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幕内先生の発行する「おむすび通信」に掲載された記事です

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松が丘ご飯のご案内(おむすび通信 86号)

松が丘ご飯のご案内

松が丘助産院でお出しする食事はお母さんの母乳のことを考えてお砂糖や油を一切使わないものになっています。
この食事は赤ちゃんが嫌がるものをお母さんが食べないというところから考えられた食事です。
今までもご紹介いたしましたが、酵素玄米にお味噌汁、しっかりとったおだしで調理したお野菜を中心にした料理です。この食事にすると美味しい母乳が出て、赤ちゃんが喜んで飲んでくれます 。
赤ちゃんは甘みが強いものが好きではありません、そのため料理には一切砂糖やミリンは使いません。

その他、乳質が悪くなるので、食べないように気をつけているものは乳製品、卵、刺激物もちろん化学調味料です。松が丘助産院の食事は全て手作りです。
この食事を考えた理由は、赤ちゃんにとって良い母乳を出すためということです。しかし、この食事は、とても疲れた時や、ひどいつわりのある方々にも胃に優しく、他の物が食べれなくても、口にすることができます。

そしてさまざまな食事のを研究している方々と同じような到達点に立っていることに驚かされました。

松が丘の食事はお米のご飯が主食です。
多くの妊産婦さん達にお話ししているのは、とにかくご飯中心の食事にしてくださいと言う事です。パンやパスタではなくご飯を食べるとおいしいおっぱいが出ます。
また育ち盛りの子供たちもご飯を食べたほう安定します。

安定するというのをちょっと説明いたしますと、パンを食べると自然にジャムを乗ったりフルーツを食べたりすることが多くなり、食事の時に甘いものを口にしがちです。甘いものが体の中に入ると血糖値が上がり子供が興奮します。急激に上がった血糖値はその後は、急激に下がるので、その時にぐずつき、更に甘いものを欲しがります。
ご飯中心の食事にしているとそれがありません。

そのためいつもお母さんたちに、パンではなくご飯にしてくださいと言っています。
赤ちゃんが母乳しか飲まないときは、お母さんが食べるものが子供の状態に影響するのです。

松が丘ご飯は、グルテンフリー

主食にご飯を食べるという事はパンに含まれているグルテンを取らないということです。主食にご飯を食べるためグルテンを摂る量は非常に少なくなります。
最近この点を非常に強く感じさせられました。ヨーロッパやアメリカではグルテンフのアレルギーあるい不耐症の方が増えています。

ヨーロッパやアメリカは主食はパンやパスタなのでずっとグルテンをとり続けているわけです。
また小麦からできる食品、パン、パスタ、ピザ、うどん、素麺などは基本的に加工して使ってあります。
その加工する中で様々な添加物も入ることが多いのです。
また、グルテン自体が、最近は遺伝子組み換えした小麦が多いため、とても質が悪くなっているようです。

小麦のアレルギーの方に日本でも時々お会いしますが、ヨーロッパで小麦のアレルギーになると、主食が食べられないために、とても大変です。
日本であれば仮に小麦のアレルギーがあったとしてもご飯を食べればいいわけですから大きな問題にはなりません。

遅発性アレルギーの大きな原因のひとつがグルテンです。

一般に食物アレルギーと言うと即時アレルギーをさします。原因になる食物を食べたらすぐに発疹が出たり喘息になる場合です。
それに比べて遅発性食物アレルギーと言われるものは、食べた後24時間以上から数日にかけて症状が現れます。そのために原因を突き止めることが困難な事が多いのです。

この原因になっているのがグルテンの場合がよくあります。
症状が慢性的なために、なかなか気づきません。
肩こり、イライラ、疲れやすい、便秘、睡眠障害などが挙げられますが、それが食物が原因になっているとは考えにくい場合が多いのです。

グルテンを止めることで、呼吸が楽になる、疲れにくくなる、よく眠れる、肌の調子が良くなる、便秘が解消するなど多くの利点が挙げられます。
松が丘ご飯を実践することはまさにグルテンフリーの生活をすることです。このことは、松が丘ご飯を考えたときに意識していたわけではなく、赤ちゃんのために良いおっぱいを出そうとする食事がこのような結果をもたらしたのです。

私たち日本人にとってはそんなに難しくない、『お野菜中心の和食にする』ということがこれだけ多くの利点をもたらすのです。
多くの食物の研究者たちが述べていることが、結果的には松丘ご飯になるということは、本当に誇らしいことです。

決して作り方が難しいわけではなくとてもシンプルです。ご飯を中心にしてきちんと出汁をとり、煮物やおひたしを中心にした昔ながらの和食にしてみてください。

おっぱいが美味しくなるだけではなく、多くの方々にとって健康を促進する素晴らしい食事です。
松が丘助産院を実践して、産後のお母さんだけではなく、全ての方に快適な生活を取り戻して見ることをお勧めします。

女性が食事の大切さに耳を傾ける時(おむすび通信 85号)

食事の大切さについては、様々な機会を通じて、多くの場所で語られます。
しかし、多くの方々は、「食事を制限してまで健康になるなんて、好きなものを食べないストレスの方が大きいわ」と、そんな声をよく耳にします。
しかし、妊娠、出産、授乳を体験すると、女性は否が応でも食事の大切さと向き合わざるを得ないのです。

妊娠期

妊娠後期に塩分の高いものを食べると、今まで浮腫んだことのない方が手足が浮腫んだり、血圧が上昇してくる方があります。甘いものを気にせず食べると途端に尿糖がプラスになり、ひどい場合にはインシュリン投与ということになるのです。
このところ妊娠性糖尿病の検査が広く行われ、またたくさんの方々が妊娠性糖尿病と診断されて薬の管理下に置かれています。
それだけ糖分の取り過ぎが日常的になっていると考えることが出来ます。
妊娠中は誰しも元気な赤ちゃんを産みたいと考えますので、この時期はとても素直に食事の重要性を認識してくださいます。
不妊治療後にやっと子供を妊娠出来た方は、特に妊娠中の食事には気を付けてほしいと感じます。また長い間不妊に悩んだ方でも食事を変えて糖分をひかえ、お米のご飯をちゃんと食べるようになってやっと妊娠できたといおっしゃる方もいらっしゃいます。
先日高齢妊婦の方で、リスクの高い方が成育医療センター(胎児診療を行ったり、高度医療を受けることが出来ることで有名な病院です。)を受診し、赤ちゃんをおなかの中で丈夫に育てるためにはパンやパスタではなくご飯を食べるようにと、助産師からの教育があったと聞きました。これも、高度なリスクを扱うところだからこそ、感じる実感なのでしょうか?私たち助産院の助産師と同様の実感です。

出産時

また妊娠中にトラブルなく過ごしたとしても、糖分を多く取り過ぎていた方は出産時の出血が多くなる傾向があります。このことを強く感じるのは助産院で継続して妊娠中の生活を見て、出産を扱っている助産師たちです。
また同様に継続して妊婦を診ている産科クリニックのドクターも、この点を指摘していらっしゃいます。
更に出産時に感じるのは野菜中心で食事に気を付けた方は、浮腫みもありません。出産時の会陰の傷がつきにくいのです。こういったことももっと多くの方に知ってほしい点です。

授乳を通して

そして、お産後は授乳が待っています。
今まで取っていた食事と母乳の質は大変大きな関係がありますが、そのことを指摘する医療者はあまりいません。一般的に甘いものの取り過ぎや脂っこいものを食べすぎないようにしましょう。といった程度の事は言われます。
食事の事をあまり考えなくても妊娠継続することが出来、出産に至る方は沢山いらっしゃいます。
しかし、日常的にインスタントラーメンをたびたび食べていた方、甘いものが大好きで止められなかった方などは、赤ちゃんが母乳を飲むのを嫌がる傾向があります。
お母さんはおっぱいが張って飲んで欲しいのに、赤ちゃんの方がお乳に近づくと抵抗し、手を突っ張って飲まないということがあるのです。
松が丘助産院は、母乳をちゃんと飲ませられるようになりたいという理由で、病院で出産した後に、産後ケア入院のためにお見えになる方が最近増えています。そのような方は、妊娠中の食事はいわゆる、普通の食事、小麦が多い食事です。
病院ではなかなか赤ちゃんが乳首に吸い付かなかったのに、助産院に来て、3日ほど滞在すると、すなわちご飯を3食食べて、野菜が中心の薄味の食事にし、かつ牛乳や卵、油、砂糖は一切取りません。すると、母乳の色が変わってきて母乳に赤ちゃんを近づけても嫌がらなくなるのです。濃すぎるおっぱいは赤ちゃんは好みません。
4、5日滞在することで母乳を直接飲めるようになり、多くの方は母乳だけで赤ちゃんを育てられるようになります。
松が丘助産院で妊娠中から食事に気を付けていた方は、生まれた途端から赤ちゃんが上手に乳首に吸い付きます。最も、生まれた途端にまず乳首を吸わせるので、母乳育児がスムーズに行く、ということも大きく影響はしているのですが、、、
またご飯と野菜中心の和食で育てたこどもは、とても落ち着いた子供に育ちます。むやみにキーキーと泣く事はありません。糖分が控えめであることで血糖値が一定になるからだと思います。
すなわち妊娠、出産、育児を経験する中で食事の大切さを実感する場面に否が応でも直面します。この時期を通して、是非体に良い食事とはどのようなものかを気づいてほしいと思っています。

助産院で出会う食事の常識、非常識(おむすび通信 84号)

助産院では、妊婦さんが日頃取っている食事は体調に影響し、産後授乳中のお母さんが食べる食事は母乳に影響します。初めて赤ちゃんを産む多くの方はなかなかその事実を知る機会がありません。様算な機会を通してそのことを妊産婦さんにお伝えしています。
助産院では、健診時に妊婦さんの体調を観察します。そうすると驚くほど便秘の方が多いのです。
私たち助産師は助産院の健診ではおなかを見るだけではなく足の裏のケアをよく行います。
そうすると便秘のツボがとても硬い方にたびたびお会いします。
「便秘ではありませんか?」と聞くと結構な割合の方が「なかなかスムーズには出ません。1週間に1度ぐらいです。」という答えがたびたびです。
しかしその問いに「いえ便秘はありません」と答えても、やっぱり便秘のツボが硬いので「毎日でますか?」と聞くと「いえ以前は一週間に一度だったのが2,3日に一度出るようになったので便秘ではないと思っていました」とお答えになったりします。
妊娠すると、ホルモンの影響で腸の蠕動運動が悪くなりますのでやや便秘になりがちですが毎日出るのが正常です。
それにしても、毎日すっきり出ますという方がとても少ないのです。
そういった方に
「どんな食事をされていますか?」と聞くと「普通の食事です」という答えが大半です。
では「朝ごはんから思い出しておしえていただけますか?」と聞きますと、多くの方が
「朝は、パンにコーヒー、フルーツを少し
昼はスパゲティかサンドイッチです。夜は帰ってから、ごはんを9時ごろに食べます。お味噌汁に、野菜のいためものと、買ってきたコロッケです。後ちょっとサラダにレタスときゅうりとトマトをたべます。」これはかなり良い方で、そして普通の食事です。お米のご飯はやっと1日に1回です。
仕事をしていらっしゃる方が多いので朝は慌ただしく、朝散歩をしたり、朝ごはんの後ゆったりする時間はありません。そのうえ小麦粉からできたものが多いのが実情です。
これでは便秘はなかなか解消されません。まずお米のご飯を食べ、朝の時間をゆっくりとる事、適度な運動をすること。これが出来ないとなかなか毎日快便というわけにはいかないようです。
食事を見直し、生活リズムを朝方に変えることで、便秘が解消できると、身体全体の調子がよくなり、そのほかの不調も改善されてきます。
妊娠している方は、どなたも元気な赤ちゃんを産みたい、安産したいと考えていますので、とても素直にいろんなことを聞いてくださいます。
しかし、食事の常識は近頃大きく変わっていると感じさせられます。
松が丘助産院では安産に向けて、さまざまな妊娠準備クラスを設けています。
食事ついては月に2回、《食の会》を設けまずおいしいご飯を食べる事、そしてご飯にあった副菜、野菜中心の調理の仕方を学んでいただきます。
妊娠中に自分のからだと向き合い、体調をどんどん良くして出産に向かってくださる方がたくさんいらっしゃいます。
しかしこのクラスでたくさんの方と食事について話しますが、驚くことがいくつもあります。それをいくつかご紹介いたします。先ほどの普通の食事も私は驚きますが。
最近非常に驚いた話があります。

Kさんは小さいころから家で食事を食べた記憶がほとんどない。と話してくれました。お母さんは専業主婦、家庭も裕福です。朝からスタバに出かけたり、夕飯はお父さんが帰宅するのを見計らって待ち合わせをしてレストランで食事をするそうです。家ではコンロは使わないのでその上に電子レンジを置いているとのこと。
Kさんは妊娠はしていません。自分の食生活がやはりおかしいと認識したのか、松が丘助産院にいらっしゃいました。とても意識の高い方なので自らその生活を変えていきたいと望んでいらっしゃるのだと思います。
また、Hさんは小さいころから手つくりの食事はほとんど食べたことがなく、家の食事は買ってきたお惣菜、レトルトあるいは冷凍食品だったとのこと。長年ひどい便秘に悩み、生理痛もひどく、肌も荒れていたとのこと。しかし松が丘助産院に来る前に自分で生活改善をし、親は食事をつくらなかったけど、自分は今はとても気を付けていて便秘や生理痛も解消しています、と話してくださいました。
また。家では一度も自然な出汁を取ったことがありません。自分の母親(60代から70代前半)も自分を育てる時にいりこや鰹節で出汁を取ったのを見たことはありません。いつも顆粒のほんだしでした。とおっしゃる方はよくいらっしゃいます。
助産師学校の授業で30人ぐらいのクラスで、「出汁のとりかた知っている人?」と聞くとなんと知っているのは4,5人。日頃から出汁を取っている人?と聞くと、せいぜい1人いるかいないかです。
まず料理はしても、インスタントのアミノ酸の味に慣れ親しんでいる方が大半です。
しかし、そういった食事をしていると、なんと授乳のときに大変な思いをするのです。
赤ちゃんは本物の味がとてもよくわかります。
お母さんが食べたものが母乳になるわけですから当然、母乳の質はお母さんが食べているもので変わります。
自然な出汁で野菜中心の和食にし、化学的な調味料を取っていない方は、とてもおいしい母乳が出て、赤ちゃんも喜んで飲みます。
一方インスタント食品を多くとっている方は、母乳がたくさん出ても赤ちゃんが嫌がることが多くあります。
出産後子育てがうまくいくかどうかは、母乳がちゃんと出て、赤ちゃんが喜んで飲んでくれるかどうかにかかっています。そしてそのことを知らない方があまりにも多いのです。こそだての基本はまず妊娠した時から(もちろんそれ以前からですが、)お母さんが何をどう食べるかに大きく左右されます。そのことを日々お伝えするのが私の重要な仕事です。

妊産婦と食事、そして子育て 助産師が感じること(おむすび通信 83号)

松が丘ごはんについて

松が丘助産院でお出しする食事は、お砂糖や油を一切使わない野菜中心の和食です。化学的なものを一切使わず自然な薄味のやさしい食事は、妊産婦さんに優しいだけではなく、お子さんの離乳食にも適しています。
大人にとっては生活習慣病の予防にもなる健康食です。素材の味を引き出す優しい味は、「松が丘ごはん」として助産院の利用者に親しまれています。

松が丘助産院では、お母さんが食べる食事が胎児の体を作ること、赤ちゃんが生まれてからはお母さんが食べるものから母乳がつくられ、それを飲む赤ちゃんの体を作ることを、妊産婦の皆さんに折に触れてお話ししています。
助産院でお出しする「松が丘ごはん」は、以下の考え方から成り立っています。
母乳のトラブルを起こさず、赤ちゃんが喜んで飲むことを基本にしています。
もちろんお母さんの体質や代謝の違い。赤ちゃんの大きさや個性、体質などで違いがあることは前提ですが、数多くの症例や経験から松が丘助産院でお出しする食事が出来上がってきました。

  1. 化学的な材料を一切使わない。
  2. 主食はごはん。松が丘助産院のごはんは酵素玄米か、五部搗きのお米に古代米が入った雑穀を入れたものです。
  3. 野菜が中心。肉や魚を全く使わないわけではありませんが、ごく少量です。
  4. 油と砂糖は使わない。油は材料の中に入っているものは摂取します。たとえばゴマや、少量使う肉に含まれている場合など、、
  5. 牛乳、卵、は全く使用しない。小麦も麺類やお麩を時々使う程度です。
  6. できるだけ無農薬や低農薬のお米や野菜を使う
  7. 調味料は質の良いものを厳選。みそ、醤油、塩、酢、さらに出汁を取るための昆布やカツオ節なども極力質の良いものを選んでいます。

以上の点に気を付けています。
これらのことを妊産婦さんに伝えると、「食べるものがない、、、どうやって食べればいいかわからない」とおっしゃる方がいますが、実際に松が丘助産院で食事をしていただくと、皆さん「おいしい、、、!!!」と、喜んでくださいます。
自然の材料の甘みやうまみがかされるからです。
そして作るのも、とてもシンプルで、決して手の込んだものを出しているわけではありません。
妊娠中にこれらの食事を理解し実践していただくために、月2回「食の会」を開催し、材料の選び方から、ご飯や副菜の作り方を学び一緒に食べながら、食が子育てに与える影響、体に与える影響をお話ししています。
ご興味がある方は妊産婦さんでなくても参加できます。

松が丘ごはんを食べると

松が丘助産院に産後入院される方々はこの食事を6日間とっていただくわけですが、とてもわかりやすい変化がすぐに表れます。
まず便秘が殆どの方が解消されます。今まで特に感じていなかった方もとても便通がよくなります。
また、多くの方が肌がきれいになります。特にアトピーがひどい方は入院中に驚くほど改善します。アトピーの原因は様々なものがあるとは思いますが、大きな原因の一つが食事にあるのではないかと思います。
この食事で全く摂取しないものは、卵、牛乳、ほとんど摂取しないものは小麦です。
今小麦のなかに含まれるグルテンのアレルギーの方も増えているようです。西洋ではグルテンフリーの健康食も話題になっているようですが、松が丘ごはんは母乳に良いことを追求した結果グルテンフリーの食事となっています。また生活習慣病を予防する食事でもあります。
もちろんこの食事で最も影響を受けるのは、母乳の質です。
母乳は血液からできていますので、母乳の質が良いということは血液の状態が良いということにつながります。

母乳の質が良いとは

母乳は量がたくさん出るかどうかはよく話題にされますが、質のことは一般にはあまり話題にされません。
しかし母乳の質が悪いと、様々な事が起こります。質悪い母乳は、初乳の時期を過ぎても黄色みがかっており、濃い乳汁です。さらに質が悪くなるとべたべたして、乳腺が詰まってきます。そのため、母乳のトラブルが起こりやすくなります。
母乳のトラブルが起きるのも、お母さんの代謝がよいかどうかとの関連はありますが、ざっくり言いますと、甘いものや油の多いものをたくさん食べている方は母乳が詰まりやすく、トラブルを起こしやすくなります。母乳の質が濃いと、詰まりやすくなり、乳房の奥にしこりが出来たり赤くはれ上がったりすることもあります。
またそこまで至らなくても食べたもので母乳の味が変わりますから、赤ちゃんが嫌がって飲まないことも良くあります。
お母さんは乳房に異常は感じなくても赤ちゃんが嫌がることがよくあります。
母乳を飲むのを嫌がるときは、赤ちゃんをお母さんの乳房に近づけようとしても嫌がって泣いたり、手で突っ張って、吸い付こうとしないこともあります。
また吸っていても、吸ったまま乳首を引っ張ったり、かんだり手でお母さんの胸をたたいたりするのです。
またそこまで至らない場合は、母乳を飲むときに眠りながらのみ、寝たと思って下に置くとまた泣きます。この繰り返しでお母さんは母乳の質が悪いとは思わず、足りないと思ってミルクを足し、飲み過ぎで苦しくて泣く、という悪循環が起きることも良くあります。
一方母乳の質がよく、味が良いと、赤ちゃんはしっかり目を開けてお母さんの目をしっかり見つめ、ごっくんごっくんと真剣に飲みます。質の良い母乳はお米のとぎ汁のようにやや透き通っていて、べたつきがありません。
赤ちゃんはおっぱいを飲んで満足すると、自分からおっぱいから離れ、機嫌よくしています。
質の良い母乳を飲んでいる赤ちゃんは、飲んだ後もニコニコして起きていることが多いのです、起きていても、機嫌よくしています。ほっておいても眠い時に一人で寝たりします。そして肌もとてもきれいです。
しかしこのような状態になるには、生まれてから個人差はありますが1ヶ月から3か月かかる場合が多いです。ただ妊娠中から気を付けている方は赤ちゃんは生まれたときから、とても機嫌よくおっぱいを飲んでくれます。
このように満足すると、お母さんは赤ちゃんがなぜ泣くのか、とてもわかりやすいので、育児にストレスが少ないのです。

このように授乳中のお母さんがとる食事は赤ちゃんの状態に直接的に影響します。
もちろん授乳育児には様々な要因が影響しますので、一人一人、個別の対応が大切です。しかし、子育て中に食事の大切さを知っておくと、子育てにゆとりが出来、とても楽しいものになります。食事の大切さを多くの方に伝えたいと、日々感じながら働いています。

毎日の食事がお産にもこそだてにも大きく影響(おむすび通信 82号)

宗祥子 プロフィール

第1子出産後、助産師になる決意をし、約10年間務めた中野区役所を退職
36歳で東京医科歯科大学医学部保健衛生学科に入学し、在学中にさらに2人の子どもを出産。休学等を経て44歳で助産師資格を取得。
クリニック助産院での研修を経て1988年松が丘助産院を開設。現在に至る。

助産師になったきっかけ

私が食事の大切さに気づき、食事を根本から見直すきっかけになったのは、23歳の時の長引く腰痛でした。さまざまな治療を試みましたが効果がなく、最終的にヨガに出会い、自分の力で直していくしかないと、日々の生活を見直し健康的な生活をとりもどしていきました。
この時の経験から、食事もおのずと変わりました。まず自分で作るものが一番おいしく、安心できることを体で覚えたのです、そのような健康的な生活が身についた後、31歳で出産します。妊娠は私にはとても心地よいものでした。つわりはほとんどなく、気持ちもとても安定して今いた。
しかし、ご飯と野菜しか食べない生活でおなかの中の赤ちゃんは大丈夫なのかしら?と不安になりました。この当時は公務員として中野区役所に勤めていました。
保健所からもらう妊娠中の過ごし方をじっくり読み、赤ちゃんに動物性たんぱく質を与えないのは、自分の身勝手からではないかと、感じたのです。実はこれが大きな間違いだったと後で感じるのですが、、、、、
その結果、今まで口にしていなかった牛乳と、卵を口にするようになりました。
牛乳はなんだか体がかゆくなるような気がして途中で豆乳に変えましたが、卵は元来好みの食品だったので、食べ続けました。
甘いものはお産の前2か月ぐらいは一切食べませんでした。
子の妊娠中の食事が、子育てに大きく影響することになったのです。そしてこの後の私自身の人生を大きく変えました。

生まれた子供は、いつも顔が赤くはれていて、ほっぺを手でこすっていました。
約2か月たったころ、友人がこの赤ちゃんはもしかしたらアトピーかもしれない。野方にある山西先生(1984年当時自然育児相談所を開設していた、母乳相談を受け付けてくださっていた助産師、  没)のところに相談にいきました。
そこで初診で聞かれたことは、妊娠中何をたべていたか、どこで出産して入院中は何を食べていたか? 今は何を食べているか?
延々と食事のことについて聞かれたのです。
娘の状態を見て、「母乳のカロリーが高すぎる、たぶん顔の赤みは卵のアレルギーではないか」と指摘されました。
この時に「あっ、妊娠前の食事で良かったんだ」と気づきました。自分が体を壊していて健康になった食事を、ここで変える必要はなかったのです。
玄米採食で自分はとても満足していましたし、牛乳や卵を食べなくてもその方が調子がよかったはずなのに、、、と感じました。たんぱく質は豆類をとっていましたし、ご飯のなかにも含まれています。動物性のものでなくてもよかったのではないかと、今振り返ってみると感じます。
即座に自分が食べるものを妊娠前の食事に切り替えました。すると、娘の肌は本の3日ほどで赤みが消え、張れていた感じの肌が枯れてきました。そのあと4か月ぐらいでつるつるの肌になりました。しかし、決してそれで完治したわけではありません。私が何か原因になるようなものを食べると、ちゃんとこどもの肌が反応するのです。
このこどもの状態から、ストレートに私が食べるものとこどもの状態が関連していることを実感いたしました。
甘い果物を食べると、夜中中、ずっとぐずるのです。
妊娠中に甘いものは食べていませんでしたので、娘は肌はがさがさしたり、湿疹が出ていても、理由なくなくことはありませんでした。
私は自分の食事と、こどもの肌の状態、それだけではなくこどものぐずり方や、おむつかぶれ機嫌など、ほとんどこどもの状態は私の母乳に原因があることをこの時に実感しました。そのこと、子育てと、母乳に注意することは本当に興味深く私を夢中にさせました。
どうしても母乳だけで育てたい。その思いはとても強く、その当時は育休がありませんでしたので産休明け2か月半から保育園に入れなければ職を失うことになります。しかし幸なことに、職場と家と保育園が近かったので、昼休みに授乳に通い、母乳だけで娘を育てました。こういうと、まるでえらいお母さんの様ですが、えらかったのは娘です。
娘は決してミルクを口にしなかったのです。保育園からは、ミルクを飲む練習をしてくださいと、いわれていました。もちろん私も保育園に預けるのならば、ミルクを赤ん坊に与えるのは当然と思っていたのです。しかし、娘は頑としてどのメーカーのミルクも口にしなかったのです。数種類の異なるメーカーのミルクを買って試してみました。どれも飲みません。最後に自分の母乳を絞ってのんでみました。
その、味は今でも忘れません。とてもおいしかったのです。香ばしく、さっぱりしていてごはんぐらいの甘みがあります。市販のミルクとは全く異なる、とてもおいしい味でした。
そして山西先生に相談しました。そうしたら「あなたの赤ちゃんはえらい、何とかしていろんな社会の規則をかいくぐってでも、母乳でそだてなさい」と、励ましてくださったのです。
私もどうしても異質たんぱく質を娘に与えたくありませんでしたので、保育園に頼み、昼休みに授乳に通いました。

そんな状況の中、姉が第3子を私の娘の誕生の3か月後に出産しました。姉は上2人の子どもを母乳で育てましたが、母乳がたくさん出るようにと高カロリーのものをたくさん食べていました。当時はそのことと赤ちゃんがよく泣く事は全く結びついていませんでした。
姉の母乳は第2子を産んだあと5年たっていましたが、質は悪く、子どもは母乳を飲んでも30分と立たないうちによくぐずって泣いていました。
量的に出ていても満足しないのです。しかし私が母乳を与えるとちゃんと3時間寝ます。その頃、食事にとても気を付けていましたので、私の母乳はとてもおいしかったのです。
姉の赤ちゃんも、満足そうに私のおっぱいを飲みました。
私たち姉妹は、いろいろ事情が重なり、姉の赤ちゃんが生まれて3か月後に、2世帯住宅に一緒に住むことになりました。その結果3か月違いの娘たちはまるで双子のようにそだちました。母親も2人います。すなわち母乳を共有したのです。どちらかが忙しいときはそちらかが赤ちゃんを預かりました。
姉も食事と母乳の関係性を肌身で感じていましたので、3か月たつと母乳もおいしくなって質がよくなっていました。
この経験から姉と私は、なぜ永永と続いてきたはずの母乳育児がとても簡単なこと、
《お母さんが食べたものが赤ちゃんの状態にダイレクトに影響する》ということがわかっていないのだろうと、不思議におもいました。
その当時、今から約29年前、私たちは母乳のことを相談に乗ったり、ケアをしたりする職業に就こうと、決意しました。
現在姉は、松が丘治療室を経営し、女性のからだのことについて、もちろん母乳のことについても相談できたり、治療したりしています。
私は姉に遅れること8年かかりましたが、長女が中学2年生になるころにやっと助産師資格を取り、今に至っています。助産師になる決意をし、大学に入ってから8年もかかりました。在学中に2人の子供に恵まれたり、脳腫瘍をして途中断念しようと思ったこともありましたが多くの方々の助けを借りて今に至っています。
現在は日々お産を介助したり、妊産婦さんに食事と母乳の関連性について話す毎日です。

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